Episode 01
それぞれの特性を踏まえ、
自分たちの手で、
価値ある商業施設を
創り上げていく
加藤 美彩希
都市開発第二事業本部 商業事業部
2015年入社

入社後、住宅事業本部に配属され、プラウドの営業業務に従事する。2018年に人事部に異動し、新卒採用を担当。2021年に現部署に異動後、ショッピングセンター(SC)の企画、リーシング、運営、売却に携わる。2023年4月よりSCの運営をメインに担当する。

※所属部署はインタビュー取材当時のものになります。

再開発プロジェクトから商業施設運営まで担い、多彩なスキル・ノウハウを獲得

「型にはまらない事業をやってみたい」「自分がやったことがないものを手掛けたい」と思っていた私にとって、商業事業への配属は手探り感満載の新たなチャレンジばかりで願ってもない異動でした。

異動後すぐに担当したのは、再開発プロジェクトのコンペに向けた提案書作成。右も左もわからない中、これまでの経験を踏まえて自分ができることを探し、かつ、先輩や周りの方々から学びつつ、必死で作成しました。ハードな日々でしたが、おかげで、商業事業の企画では、どのような社外関係者の方々がいて、どのように話をしながら進めていくのか。また、社内においても、誰にどのような説明をしていくのか、といった一連のノウハウを学びとることができました。

一方で並行して任されたのは、開業日を間近に控えた大型商業施設のSOCOLA南行徳の開業準備です。苦労したのは、開業2週間前に現地で日々の運営を担う野村不動産コマースの方々と打ち合わせをした際、開業後のオペレーションで決まってないことが多々あったこと。例えば、開業日当日に予想される長い行列をいかに並ばせるか、どのドアをどんな順番で開けていくか……。開業前後2週間ほど現地で張り付いて、オペレーションを色々試しては修正し、試行錯誤を繰り返しました。開業は傍目には華やかに見えますが、私たちが実際にやることは地道です。しかし、その地道な努力こそが、お客様に喜ばれる商業施設づくりにつながるのだと痛感しました。

※SOCOLA(ソコラ):野村不動産が手掛ける地域密着型商業施設ブランド

的確な数字の分析のもと、戦略的な取り組みを行うことで成果につなげる

現在は、ショッピングセンターの企画、リーシング、運営、売却まで担う商業事業部の中でも運営をメインに担当しています。今実感する商業事業の難しさの一つは、BtoBtoCのビジネスであること。つまり、向き合う相手が「施設に入居されているテナント様」と「施設に来館いただくお客様」の双方であることです。テナント様の売上向上のために、どうしたらお客様に来館していただけるか、さらには商品をご購入していただけるかなど。現場施設を運営する方々やテナント様だけにお任せするのではなく、私たち野村不動産も深く入り込み、共に試行錯誤しています。

しかしその上で障壁になるのは、商業施設には変動要素が多いことです。例えば、季節や天候の変化、学校行事のような近隣のイベントなど、様々な要因で商業施設の運営は左右されます。そこで重要になるのが、運営状況の指標となる様々なデータを収集し、その数字を分析することです。

例えば、SOCOLA南行徳では、データ分析をもとに、駐車場サービスを「2時間無料」から「3時間無料」に変更しました。そのきっかけは、データを見た時に「2時間無料」では顧客満足度が低いことがわかったことでした。そこで「3時間無料」をトライアルで実施し、来館者数、売上高がどう変わるかを検証。その結果、変更で得られる効果が認められたことから、「3時間無料」サービスを開始しました。その後、駐車場の利用率は向上し続け、商業施設全体の売上も向上しています。

とはいえ、数字だけを見て商業施設をマネジメントするのは違うと思っています。お客様の声はもちろん、現場で日々運営に携わる方々の感覚や意見など、定性的な情報から仮説を立てたり、判断することも重要だと考えています。そのため日頃から現場の方々に話を聞くことや、アンケートを実施してお客様のお声を集めるなどの試みを重ねています。私たちがそこまで現場に入り込んで運営に関与しているのは、他社にはない野村不動産らしいところ。その姿勢が野村不動産ならではの価値の創造につながっているとも感じています。

社内外の様々な関係者と協業し、商業施設の可能性を広げていく喜び

それぞれの商業施設によって取り巻く状況が異なり、したがってその戦略も異なる。それが商業施設運営の難しさであり醍醐味です。例えば、JR亀戸駅前にある商業施設のカメイドクロックは、テナント数が130店舗以上あり、そこで様々な新しい取り組みを進めています。例えば、アプリを活用した会員施策や、地元の情報経営イノベーション専門職大学とのコラボによるeスポーツチーム「カメイドタートルズ」の設立、加えてプログラミング教室の開催などです。

こうした取り組みには、「商業施設をつくって終わりではなく、持続的なコミュニティ形成にも寄与する」という野村不動産ならではの街づくりへの姿勢が表れています。ハード面の運営管理に加えて、そうしたソフト面の運営管理も求められるのが、私たち運営担当なのです。そのため、やるべきことは無限にあり、大変なことが多々ありますが、それ以上に面白さも感じています。

また、カメイドクロックは、同じ敷地内に当社が手掛ける住宅やシェアオフィスなども隣接している複合開発事業です。そのため、エリアマネジメント、住宅、ビル、DXなど社内の他部署や、社外の様々な会社などとの協業が多いことも特徴です。これは、自分の担当以外のアセットを知る機会になるとともに、社内外の様々な方々と協業することで商業施設の可能性を広げていける喜びにもつながっています。

商業施設は刻々と状況が変わる“生き物”だと考えています。そのため、「現在のテナント構成がベストなのか」や、「よりターゲット層を広げるために新たな広告戦略をどう考え実行すべきなのか」などを常に検証し、日々戦略をアップデートしていく必要があります。このように商業事業は非常に複雑で難しく一筋縄ではいきません。しかし、だからこそ成果を上げた時の喜びが深く、そこに至る過程が面白いのだと実感しています。

※カメイドクロック:野村不動産が手掛けるJR亀戸駅前のフラッグシップ商業施設。25階建ての「プラウドタワー亀戸クロス」が隣接しており、このほか同敷地内に、シェアオフィス、地域コミュニティ(BeACTO亀戸)、小学校が併設されている