Dialogue01

街づくりバリューチェーン

職種や領域を超えたシームレスな連携による
バリューチェーンの強さ。
そこに、その街が求める開発を実現する
鍵がある。

野村不動産では、街や建物の用地取得の段階から、企画、開発、営業、運営などそれぞれの担当者が想いを寄せ、最後まで皆で開発プロジェクトを進めていく。その職種や領域を超えたシームレスな連携による「製・販・管 一貫体制」が野村不動産の強みであり、それが良い建物だけでなく、良い街づくりへの貢献にもつながっている。いかに連携し開発を進めているのか。その想いを、それぞれの立場で、旧サンストリート跡地開発プロジェクトに携わった3人の社員に語ってもらった。

※所属部署はインタビュー取材当時
のものになります。
  • 公文 航平
    2015年入社
    住宅事業本部
    住宅営業一部
    公文 航平
  • 森谷 秀嗣
    2009年入社
    都市開発第二事業本部
    商業事業部
    森谷 秀嗣
  • 沼 大継
    2007年入社
    住宅事業本部
    事業推進一部
    沼 大継

住宅開発、商業施設開発、営業、
それぞれの担当が想いを持ち寄り、
共にJR総武線駅最大級の
ランドマークプロジェクトに挑む。

私たち3人が、携わった「プラウドタワー亀戸クロス」「カメイドクロック」は、「亀戸」駅徒歩2〜3分の広大な土地を活用したJR総武線駅最大級のランドマークプロジェクト。その中で私は、住宅部分の商品開発、コスト管理の通常の開発で携わる業務に加えて、敷地全体の計画検討や、スケジュール管理、計画推進のための行政折衝などのプロジェクトマネジメント業務を担いました。
森谷
私が担当したのは、商業施設「カメイドクロック」のすべての業務。用地取得時から担当し、開発に関わる業務、リーシング業務(テナント企業への営業及び契約調整)、開業に向けた調整(販売促進活動、プロモーション活動)、さらには2022年4月の開業後も、施設運営、販売促進活動や地域渉外活動など運営業務に携わっています。
公文
私は住宅部分の販売活動全般を担当。販売戦略策定から販売価格決定、プロモーション活動、BtoC営業、契約手続きまで取り組みました。
住宅と商業をこの規模の土地にセットアップする開発は、野村不動産として初めて。しかも、2017年末に用地取得後、住宅の着工まであまり間がなかったので、厳しいスケジュールになるなと思い、当初は期待感より不安感が大きかったですね。
森谷
地主さんがいる再開発ではなく、自分たちで企画設計が全部できるということが私にとって初体験でした。企画のバリエーションが無限大にあるので、商業と住宅のバランスをどうするかなどいろいろ考えなければならず、非常に大変だろうなと思ったのが最初の印象でした。
公文
私は自ら立候補して本プロジェクトに参画しました。駅近でこんなに大きな物件は珍しいので、完成した姿を想像するだけでワクワクしました。

自社のみならず、地域にとって
一番の“最適解”とは何か?
それぞれが向き合う事業、
業務への理解を深めつつ協働する。

本プロジェクトでは、総合設計制度(公開空地を設けることにより、容積率等が緩和される)を活用したため、住宅と商業、両方の配棟計画や外構を決定した上で足並み揃えて東京都に対して申請しないと、お互いに着工できないという、いわば一蓮托生の関係性だったので最初から一緒に協議を行いました。
森谷
その協議の前に近隣の町会・商店街と街づくりについての対話を開催。その中の対話でわかったのは、用地取得時に考えていた大枠のプランは地域の方々に望まれていないのだろうなということでした。そこでもっと地域に開かれたプランニングにしようということに。
というのも、かつて当該地にあった前身のサンストリート亀戸(ショッピングセンター)が、地域の方々に親しまれていた施設だったので、その良さを引き継いでもらいたいという想いが非常に強く感じました。本プロジェクトでも、広場とステージ、通り抜けができる環境など、前身の良さを踏襲しました。
そうですね。私が町会・商店街の方々と話していて感じたのは、特に地元のご高齢の方々が地元のことを本当に好きなんだなということ。「こういう街だからこういう風にしたい」と、我々に熱い想いを伝えてくれましたよね。
森谷
町会の方も商店会の方も「もっとこうした方がいい」といったポジティブな意見が多かったし、私たちの開発に好意的でした。
一方、社内で企画中に住宅と商業で最もせめぎ合ったポイントは、配棟の部分です。住宅は南向きや高層階の価格が高い一方、商業は1階に近いほど賃料が高くなる傾向があること。そのため住宅は高く南側に建てたいし、商業は広く建てたいわけです。決まった敷地の中で公開空地を設けると容積割増がある条件の中で、どのように全体最適化するか、その調整には時間がかかりましたね。
森谷
そこはお互いの事業への理解を深めつつ、当社のみならず地域に対して一番の最適解を議論しながら進めました。
同時に、営業に価格をシミュレーションしてもらって収支を試算し、本プロジェクトにおける最適解に導くことができました。住宅としては南向きをたくさんつくるロジックからは外れているんですが、駅近の立地であれば東西向きでもニーズは高いだろうという結論に達しました。
公文
私が本プロジェクトにジョインしたのは2018年の着工前。立地や規模感など条件が良い物件ではあるものの、近隣の相場よりも高価格帯であるため、エリアを気に入っていただけないと絶対購入してもらえないと思っていました。
そこで亀戸の街に入って散策して、お店を覗いたり、事前に街に入り込んでいる沼さんや森谷さんと情報共有をしてもらったりしました。どんな物件を担当するときも同じですが、その街を知らなければ、その街で暮らす良さを伝えることはできないですから。エリアリサーチのおかげで、着飾ることなく暮らせる亀戸の街の魅力を体感することができ、それがPR活動に活きました。

社内外の関係者の方々と
プロジェクトへの思いを共有する。
それこそが、いいものづくり、
街づくりにつながっていく。

森谷
これまで私が携わってきた再開発の複合施設開発では、住宅は住宅、商業は商業で別々のデザインになりがちだったのですが、今回は、沼に「一緒にやっていこうと」言ってもらって。お互い、「こういうデザインがいいのでは」「こういう空間がいいのでは」と意見をぶつけ合いながら進めていくことができ、デザインを揃えることができてよかったなと思います。
商業の方はどちらかというと色気のあるデザインが得意だったりするので、それを取り入れながら……。商業でブラッシュアップしたものを住宅に引き込むことで、一体感を出すことができたと思います。
森谷
商業と違って、住宅は堅実性のあるデザインを求められますよね。今回は住宅と商業の間のデザインを考えるのが楽しかったです。
公文
お二人が開発を着々と進める中で、私が取り組んでいたのはプロモーション活動です。広告代理店と連携し、自分たちの物件への想いを伝えながら広告展開をしていきました。先ほど話しましたが、私としては着飾ることなく暮らせる亀戸の街の良さをアピールするには、必要以上に良く見せるのではなく、等身大の良さを伝えたいという想いがありました。
また、ちょうど湾岸エリアの他社マンションと競合する価格帯、販売時期だったので、それらとは真逆のコンセプトにしたかったというのもあります。そのため、PRの内容もおふざけを入れてみたり、人によってはデメリットに思える部分も積極的に見せてみたり。そうした中、広告代理店が地元の方々と野村不動産を繋いでくれて、PR活動を許可してもらったのも心強かったですね。
森谷
開発プロジェクトでは社外の協力会社との連携も重要ですね。その意味で私が最も感謝しているのは建設会社です。総合設計制度を活用したため、住宅と商業の竣工時期は同じである必要がある中、非常に緻密に組み立てられた工事でしっかりやり遂げていただきました。困難な局面も多々あったのですが、一緒に乗り越えられたのは、野村不動産の住宅と商業の商品価値をご理解いただいた上で「いいものをつくりたい」という想いを共有して進めることができたからだと思います。
なぜか私が建設会社の商業側の所長さんに誘われて飲むこともあって(笑)。社内外の関係者含めて、それぐらい住宅と商業で一体感ある関係性がうまく作れていて仕事がやりやすかったですね。
森谷
また、近隣の方々とも良好な関係性が構築できていることも、より良いものづくり、街づくりにつながっています。開業後も商業施設を運営していく中で、近隣の方々の意見は真摯に受け止めて改善すべきことは改善しています。

街の価値を向上させ、
人々に喜びを提供するために。
それぞれのこだわりをぶつけ合い、
より良い開発へ。

今回私がこだわったのは、コンセプトからブレないように建物のデザイン等に一貫性を持たせたこと。商品企画段階から営業、用地取得担当、建築担当が企画に想いを寄せて、つくる過程にみんなで参加して、つくり上げているからこそできたのだと思います。そこに野村不動産の製販管一貫体制の強みが表れていますね。
森谷
その結果、近隣の方々が待ち望んでいた商業と住宅の複合施設が出来あがりました。
そうですね。一番よかったのは、前身のサンストリートが閉まって買い物に困っていた近隣の方々の「早く開業してほしい」という想いに応えることができ、非常に喜んでいただけたこと。また、広場やステージ、通り抜けできる環境のほか、座れる場所をたくさんつくったことで、近隣の方々の憩いの場所にもなっています。
森谷
あと、隣接する小学校には、「街を見る目」という教育プログラムも提供しています。そうした中で近隣の方々にとっての“地域連携のシンボル”という役割も果たしているのではないかなと。
これまでこのエリアは、近隣の方々にとっても「特徴がない」という印象でした。しかし、私たちが新たに開発したことによって新たな魅力が付加され可能性の広がる街になったと思います。
森谷
きっとそれが実現できたのは、プロジェクトに参加した全員がそれぞれのこだわりや想いをぶつけ合ったことで、いい方向に進むことができたからですね。
公文
そうですね。本当にこだわりが強い人が多いです。何かやるにも、必ず理由や目的を求められるから、野村不動産の社員はそれを突き詰めて考える力をすごく持っているのかなと。そして、そのため今までなかったプロジェクトでも自分の立ち位置をちゃんと理解できて、しっかり成果に結びつけられるような仕事の進め方ができるのではないかと思います。
年齢やポストに関係なく、「考えなさい」「言いなさい」と言われ続ける。多分、森谷も公文もずっと言われてきたはず。自分が考えて提案したものが真っ当だと判断されれば通るし、ダメなら通らない。ある意味すごくわかりやすくて、いい環境かなと思います。
森谷
ちなみに本プロジェクトで公文がこだわった点は?
公文
販売チームのメンバー全員が、最小の労働時間で最大限効率的な販売を行うことにこだわりました。最初の販売の際、コロナ禍になったのもあり、オンライン販売に注力。コロナ禍が落ち着いた後も対面とオンラインの両方を活用しました。その結果、残業減や積極的な有休取得など良好な労務環境を維持しながら進捗目標も達成し続ける、 “売れる体制”をつくることができました。
さすが。好評で安心しました(笑)。本プロジェクトでは環境づくり、街づくりも、こだわったポイントでした。今回は、公文と連携し、建物だけでなく、環境づくり、街づくりも一緒に内覧していただいて、あらかじめ「ここに住みたい!」と思ってもらったので、入居者の方々の満足度が高く、大きなトラブルもなくほっとしています。
森谷
こだわりの強い一人一人が、それぞれの得意分野を活かし、他の人と融和しながらやっていくことが、新しいビジネスにつながっていく。それが野村不動産の強みですね。だから、私が仲間になってほしいのは、自分が好きなことをとことん仕事に活かしていく人。ぜひ個が強い人に入社してほしいなと思います。