今後の戦略/総合デベロッパーでありながら、野村不動産らしさは失わない。野村不動産は今、何を目指しているのか?

Prologue

野村不動産は1957年、日本の社会課題であった住宅難を解決するために、「ニュータウンの建設に全力を投じること、これこそが社会に報いる最善の道であり、不動産会社の使命である」という志でスタートした。
その後50年以上にわたり、野村不動産は街づくりや人々の豊かな生活の創造に邁進し、
事業の領域を広げ総合デベロッパーとして成長を遂げてきた。
そして、これから野村不動産は、何を目指していくのか?
2016年度からスタートした中長期経営計画から読み解いてみる。

野村不動産グループの『目指す姿』とは?
私たちの約束「あしたを、つなぐ」

今、そしてこれから社会はどう変化し、何を求めているのか?

野村不動産はそれに応える。

社会から求められているものは大きく変化してきた。高度経済成長期に整備されたインフラや建物の中には老朽化し、耐震性に劣るものもあり、これらの建替えが社会的な課題となっている。こうした建物や地域を再生し、安全性や利便性を向上させることや、リノベーションやコミュニティ形成による建物や地域の価値自体を向上させることは、まさに時代の要請だと野村不動産グループは捉えている。

さらに、人口減少や少子高齢化、世帯構成、ライフスタイルの変化、女性の社会進出などを背景に、人びとが求める住まい方、働き方は、一層多様化している。最近では地域コミュニティの力が見直されるなか、多世代交流や地域交流を支えるコミュニティの形成・活性化や、シニア世代を中心に高まる健康・介護ニーズへの対応など、ソフト面の充実も一層求められるようになっている。

野村不動産グループは、これまで培ってきた商品開発力や管理・運営力などを活かし、あらゆるニーズに応えながら、事業活動を行っていくと中長期経営計画に定めている。次なる時代を見据え、社会の課題に応える。単に建物を建てるだけではなく、人びとが求めるものは何かを徹底的に考え抜き、野村不動産グループならではの先手を打っていく。まさにゼロから1を創り続けてきた、そしてマーケットを新しく切り拓いてきた野村不動産グループのDNAが息づいている。

未来に向けての野村不動産グループの具体的な取組みとは?

それでは、具体的にどのような戦略を立案し、実行しようとしているのか。
まず具体的な数値目標は、野村不動産グループ全体で、2016年度の営業利益809億円を2025年度には、その倍の1,500億円を達成し、売上高1兆円超を目指していく。
そして、この数値目標と『目指す姿』を実現するために大きく3つの重点戦略を打ち出している。

  1. 重点戦略1デベロップメント分野での事業量・事業領域の拡大
    住宅事業をコア事業として持続的成長の実現はもちろん、オフィスビルや商業施設、物流施設等の賃貸資産の拡大を目指すと同時に、ホテル、シニア向け住宅、フィットネス、サービスアパートメントなど、商品カテゴリーを拡充する。既存の開発に加え、新たな領域を拡大していくことに併せて事業エリアの拡大も目指す。また、大都市圏を中心に、野村不動産グループの強みである複合開発・大規模再開発による事業手法を最大限活用し、「多機能」かつ「高い利便性」を有する都市型コンパクトタウンへの取り組みを強化する。他にも、今まで国内で培った商品企画・サービスノウハウを活用して、海外事業も積極的に拡大していく。デベロップメント分野では、2025年度までに3,000億円投資する計画をし、すでにベトナムのホーチミン市での大規模複合開発や、中国の遼寧省瀋陽市での分譲住宅プロジェクトに参画している。
    賃貸事業の拡大都市型コンパクトタウン海外事業
  2. 重点戦略2「サービス・マネジメント分野での差別化、競争力の発揮
    サービス・マネジメント分野とは、資産運用、仲介・CRE、運営管理の3事業で、それぞれのマーケットニーズに対応したサービスの創出・提供を通じて、競争力を発揮する。資産運用事業では、様々な投資運用ニーズの高まりに対する運用商品を組成し、国内だけではなく海外の投資家への対応を強化。仲介・CRE事業では、企業の保有する不動産に関するコンサルティングからソリューションといった法人向けサービスの拡充と共に、個人の持つ不動産資産の有効活用や相続への対応など、個人向けサービスも強化する。運営管理では、商業施設やオフィスビル、さらには様々な施設が隣接する複合施設などの複雑・多様化する運営・管理を、前例に縛られることなくニーズに対応する運営力を強化する。この3事業を全て野村不動産が単独で行うのではなく、外部ノウハウの獲得や、事業領域拡大に向けたM&Aなどを通じてノウハウを獲得・強化し、野村不動産グループ全体の競争優位性を確立し、成長を加速化することを目指している。
  3. 重点戦略3グループ連携による顧客基盤の拡充
    野村不動産グループには、住宅、賃貸(オフィスビルや商業施設等)、資産運用、仲介・CRE、運営管理の大きく5つの事業があり、グループ会社が存在する。それぞれが向き合う法人・個人の顧客基盤を連携して拡充しようとする戦略だ。具体的には、野村不動産グループの大きな特徴である製・販・管一貫体制の更なる強化を図る。また、住まいに関する野村不動産グループの会員組織「野村不動産グループカスタマークラブ」の拡充、多機能な街づくりに向けたグループ連携、シニア・健康分野におけるグループ連携、そしてグループブランド戦略の推進といったテーマが挙げられている。これらはグループ各社・各事業の連携を通じてシナジーを創出し、グループ総合力を発揮した高い価値を顧客に提供し、継続して野村不動産グループの商品・サービスを選択してもらえる顧客基盤を構築・拡充することを目指している。

攻めのフェーズに入る野村不動産グループの投資計画

3つの重点戦略を実現するためには、当然それなりの投資が必要になる。それでは具体的な投資計画も見ていく。
まず、2013年度から2016年度までを前計画期間とし、この間を財務基盤の整備と位置づけている。そして2019年度から2025年度までを新計画期間とし、投資・資産の拡大期としている。計画期間内で総資産を1兆円超積み増しながら、売却を前提とする開発投資の拡大に加え、賃貸資産の保有量を拡充していく計画だ。
2025年度までの計画期間内で、住宅事業および賃貸事業に5兆500億円、M&A等を想定した戦略投資に2,000億円、合計5兆2,500億円となる投資計画を実施する予定だ。まさにこれから本格的に攻めのフェーズに入る野村不動産グループ。大きく飛躍するための計画が着実に実施されようとしている。

中長期経営計画(2016.4-2025.3) 『Creating Value through Change ~持続的変革による価値創造~』

https://www.nomura-re-hd.co.jp/ir/investor/pdf/plan/plan2016.pdf

今後の戦略